フランシスコ、カナロの生涯 その12

1920年代から30年代にかけて、演奏の上でカナロは、絶頂期を迎え、当時のレコードは、
本集にも多く盛られておりますが、どれを聴いても、心技バランスのとれた気魂十分の
華麗な、演奏を誇っております。

又、セリエ、シンフォニカと銘うち、タンゴをより音楽的に高める狙いで始められた
シリーズも、実に、この時代の所産であります。
ここで、1920年代の、カナロの作品を、ざっと眺めてみましょう。

作風においては、1910年代の、たくましさを根底に置きながらも、やや、円熟味を
増してきております。
この期の最高傑作は、何と云っても「ガウチョの嘆き」でしょう。これは、1924年
スプレンディ劇場で、開かれたオデオンの、タンゴコンクールに於いて、
見事、第一位を獲得しております。


このアルバムから、1曲ご紹介します。


曲目 RODRIGUEZ PENA

読み ロドリゲス、ペニア

録音 1953年

これは、タンゴのスタンダードナンバーとして、割に、名が知れております。作者は、かの
ビセンテ、グレコで、1911年、丁度100年前
「サロン、ロドリゲス、ペニア」に、出演中、作曲しました。興奮した客が、グレコ
担いだという逸話が、残っております。初期のタンゴらしく、明快そのもの…


左、カナロ夫妻と、右、ピアニスタのルイス、リカルディ夫妻マルデルプラタ海水浴場にて