フランシスコ、カナロの生涯 その2

そうはいっても、その日の食にも、ことかくありさまの彼に、高価な楽器など、とても買える
ものでは有りませんでした。
窮余の策として、手製のビオリンを作る事にしました。オリーブ油の空き缶と、ほうきの柄で、
とうとう、ビオリンらしきものを作ってしまいました。

それが、どんな音を出したのかは、良く分かりませんが、とにかく、得意そうに弾いてみせたと
いう事です。
生来、勝気な性質のカナロは、逆境にもめげず、やがて、自らをタンゴの世界へ送り込み
最初の夢を果たします。
がむしゃらに、稼ぎためたお金で、一丁のビオリンを手に入れ、ロドルフォ、ドゥクロスという
ギター弾きのトリオに加わりました。

これが、職業音楽家の第一歩で、時に、カナロ18歳、1906年の事でした。


このアルバムから、1曲ご紹介致します。

曲目  PINTA BRAVA 素敵な格好

読み  ピンタ、ブラヴァ

録音  1933年

カナロ1912年の作品で、新感覚のタンゴとして、タンゴミロンガと、自ら名付けました。
当時としては、異色のタンゴとして、人気を博したそうです。今でいう、モダンタンゴ?
冒頭は、静かなメロディで始まり、一転、激しくなり、又、静かになり、又、激しくなり
最後は、印象的な、マイナーの静かなメロディで、終わります。



1927年~28年の、カナロ楽団 後列右がカナロ